悪循環?「汚れたWAX型」の水垢
昔から、車の手入れにはWAXが日常的に使われてきました。WAXは、カルナバ、パラフィン、シリコン化合物などの「油成分の混合物」です。常温で、ある程度の流動性を持ちます。その流動性ゆえに、塗装の凸凹をカバーして表面が平らになるので、”ツヤ”が出ます。しかし、WAXは、分子同士が結合していない混合物の膜なので、排気ガスなどの油成分が混じった汚れと、性質的に仲が良く、「汚れたWAX被膜」となり、洗っても取れない水垢をつくってしまうのです。
最近多発の新種の水垢。
噴きかけ型コーティング剤による
ミルフィーユ型水垢。
近来、WAXからコーティングの時代へと、変わってきました。コーティング剤にもいろいろな種類がありますが、最近の主流は、濡れたボディに直接噴きかけ、拭いていくタイプのコーティング剤です。
これらのコート剤は、シリコンやガラス系のマイクロエマルジョンとなったほぼ透明な液状であり、塗装上に噴霧することで、分子的に結合されたコーティング膜を作ります。その他の、洗車機などで使われている「撥水コート」なども同様で、これらのコート剤は、ミルフィーユ型という新しい水垢の原因になることがあります。これは、WAXのような混合物ではなく、分子結合した連続的な被膜なので、汚れが浸透しませんが、膜の上には汚れが付着します。汚れをキチンと取らずに、再び噴きかけ型コーティングをかけると、汚れをサンドイッチの様に挟み込んでしまいます。これを何度も繰り返すことで、汚れが何層にも推積し、まるでミルフィーユの様な、水垢になってしまうのです。